情熱

私には、どうしても許せなかった人達がいた、
高校の同級生のAとBだ、
Aとはずっと同じクラスで、めちゃくちゃ頭がよくて将来は公認会計士になると話しているような子、
Bは二年生のときに一緒のクラスになった、私と馬鹿ばかりしていたが、ホストが大好きでよく写真を持ってきていた、Bは東京の大学に行くんだと進路を話していた、

三年生になったばかりのある日、二人の様子がおかしい、
Bのmixiをこっそりと覗いてみると、あるブログにつながった、
そこには、実名は書いていないものの私だと分かるような内容で、悪口が書いてあった、
それだけではなく、Aもコメント欄で悪口を書いていたのだ、

すぐに担任に相談し、二人に話して記事は消してもらったが、
その後、私は二人から離れて一人で行動するようになった、
二人からは謝罪はあったが、受け入れなかった、
次第に、クラスからも浮いた存在になっていった、

夏休み明けに、Bは東京の大学のオープンキャンパスに行ってきたことをAに話したり、赤本を私の机に叩きつけるように置いたりしていた、
私はせっせと学校に通った、それから常にテストでは上位の成績をとっていた、
なぜなら、私も東京の大学とやらに行ってみたくなったから、
東北から出れば何かが変われると本気で信じていた、

Bは十月ごろから、東京の大学の推薦入試を受けに行った、
しかし、結果は散々な結果だった、
それもそのはず、小論文の試験対策や面接対策もしていなかったし、資格取得や学内活動もしていなかった、
Aは、簿記の専門学校に受かり、春から通う予定になっていた、

私はずっとBのブログを見ていた、Bは私のことを書いたりはしなくなっていた、
私は、ぎりぎりで学内推薦が通った次の日、同じ様に通過した人が特別教室に集められた、
その一方で、Bは学校を早退した、早退するとこに出くわしたが、Bは私を睨みながらお腹を抱えて帰っていった、
その日から、Bはブログに毎日のように、私のことを遠回しに悪く書いたりするようになっていった、

Bのブログには、合格発表が近くなる度に、上手くいきませんようにとの文字が並んでいった、
東京で推薦試験を受けて、東京の大学に合格した、
Bは、そんな私を見てブログにつらつらと、あいつはやっていけない、周りの人が話を聞いてくれているから爆発せずにすんでいる等の言葉をならべていった、
この時から、私は二人を見てもなんとも思わなかった、面白いことにBが私に話しかけてくるようになった、それから、Bは地元の大学に進学が決定した、しかし、弁護士を目指すために東京の法学部のある大学への編入を望んでいた、ブログでは親の賛同が得られたみたいなことは書いてあった、

その後、卒業して電話番号もアドレスもすべて変えた、
しかし、横浜に引っ越した時にBの友達から連絡がきて、
Bが私の連絡先を知りたいとの内容のメールがきたが、
保留にしといた、それから一度もメールしてない、

最近、Aを見た、Aは変わっていなかったが、噂では簿記の一級を取得しどこかで仕事をしているみたいだ、
Bは、編入せずに地元の大学を卒業後、焼肉屋でバイトをしている、
なんだか、人生って上手くいかないもんだなーとか思ってしまったのと、
あの時の情熱が今はないことに少し焦っている、

この間、夢で自宅に二人がきてAと話したり、Bと笑ったりしていた、
すごく懐かしい光景だった、
だけど、もう戻れない時間だった、
前はこうやって、このことや二人のことを話したりすることはできなかった、許せなかった、だけど今はなんとも思っていない、

ある人が、人生の転換期には友人が変わるものだと話した、
あれは、私の人生の転換期だったんだろうか、
今、その当時から仲良くしていたメル友と連絡できなくなった、付き合う友達も結構限られている、
やっぱり、今が人生の転換期かな生理みたいに憂鬱だ、

おーい、高校三年生の時の自分、
君は東京の大学に受かり、一年生のときは人が怖くて仕方なかったけど、単位も成績も案外上手くとり、彼氏と週末会って、ジャズサークルに入ったり、ビッグバンドやったりしていたけど、流れ着いたのは私と同じ様に一度、大学や社会に絶望した人々が集うところに行き着くよ、
そこの生活が居心地よくて、婚約までしていた彼氏と別れて、実家に帰ってフリーターしている25歳の私はまだ抜け出せていない、
君が嫌いな25歳になっているよ、
だけど、君が許せなかった二人を許せたと思ってこれを書いているよ、結構時間がかかったけど、区切りってやつかな、

未来の自分がこんなの書くなんて思ってもみなかっただろうな、
君は自分が思っている以上に強い、
大丈夫、君は今の私より強い、君を尊敬する、
辛いことが今の自分の糧になって、血や肉になっているよ、ただね、なぜか何事にも一生懸命になれなくて、これでいいやって考えてしまうんだ、どうしたらいいかな、

今と未来の自分も、今回みたいに誰かを許せていけるようになればいいな、
幸せになっていればいいな