ある日、父が母がいつも通帳やお金を入れているタンスからお金を抜いていた、それを後ろから私はそっと見ていたことに父は気付いていなかった、父は小銭と千円札数枚ほどを持って、どこかへ出掛けた、多分、父はコンビニでお酒を買ってのむためにお金が使われた、そんな父の姿を見て、もうこの人を頼ってはだめだという諦めと、なぜ一言だけ母に声をかけることができないのだろうという悲しさが交錯した、母いわく、毎朝千円から四千円くらいお金をお小遣いとして渡しているらしい、それを聞いて、自分の都合で実家に身を寄せている私が言える立場ではないけど、言わせてもらうと、すごく「ずるい」と思ってしまった、私は、五百円ですら大金と思ってしまうような金欠で、それでも様々な出費を自分で払っている、それが当たり前だと言われればそうなんだけど、父は母と同じ財布だから仕方ないと言えば仕方ないけど、お酒につかうなら、もっと有意義な使い方があるのにと考えてしまう、今の状況から逃れるためには金がいるのに、必要なお金がない、何度か貧乏はやってきたけど、いまが一番キツい、これを乗り越えたら、少しはよくなるかな、少し良くなっても、ずっと努力していかないといけない、誰か助けてって叫んだら、誰か助けに来るかな、寂しいし、ひもじいし、寒いし、泣きたいし、もう体を売ってもいい、フェラもするし、肝臓とか売るよ、これは冗談だけど、本気でどうしようもない、俺たちに明日はないって映画で、ヒロインが最後のほうに主人公に、まともになって普通の生活を送りたいって言っていたことを思い出した、それで蜂の巣にされてしまうんだけど、切ない、今、一応まともな生活をしているけど、ヒロインの気持ちが分かる、まともにご飯を食べて、飲み会やって、人様の評価にもびくつかず、胸を張って堂々としていたい、それでいていきいきとしていたい、セックスがしたい、生理が明けたからしたくてたまらない、そして、寂しいし、寒いから、今なら襲われる前に襲う自信がある、それくらいセックスをしたい、音楽を聞きながらセックスをしたい、レゲエとかもいいけどね、勝手にしやがれってバンドの「ヴァニタス」って曲と「ロミオ」って曲が好き、特にヴァニタスって曲は切ない、それを聞きながら優しく抱かれたら泣いてしまうかもしれない、この曲は午前4時くらいの明け方みたいで、暗闇のなかに微かな光の情景が見えるような曲、温かい曲、やっぱり、勝手にしやがれはかっこいい、今の私の支えは音楽だ、小学生のころからずっと音楽が支えだ、音楽がなかったら死んでいたくらいだ、まわりの誰も知らないバンドの曲を聞いてにやにや笑っていた、今では生活の一部となっている、音楽を聞いたり、文章を書いたり、考えたりしているうちは心が安定する、なにもしないときが一番不安になる、寂しくなる、そういえば、大学時代の友達から連絡があった、ずっとゲームをしていて気づかなかったらしい、普通は携帯くらいみるよなとは思った、友達は元気そうだった、今年からは卒業に向けての準備と就活をするらしい、みんな前に進んでいる、だから、少しでも前に進んでみよう、たまたま、人生時計なるものをやってみたら、7時15分だった、そこには「一番悲しいことは自分で時間をとめること」とかいていた、私は時間をとめてしまった、それについては後悔していない、自分にとって必要な時間だったから、今は夜明け前のように一番暗い、困難を楽しめとか言う無責任なやつがいるけど、楽しめる困難と楽しめない困難があると思うの、楽しめないから、困難と付き合っていかないといけないの、もう、これ以上のどん底はないの、ないんだよ、大丈夫大丈夫大丈夫って誰かに言ってほしかったけど、自分で言えばいいだけ、夜が明けますように